糖尿病
糖尿病は食事でとった糖分を身体で使うときに必要なインスリンの異常から起こる病気です。身体の中は“肥沃の中の飢餓”と言われるように、血糖(栄養分)はたくさんあるのにうまく使えないため、身体から糖分が排出されてしまう(糖尿)という状態になります。I型とII型がありますが、生活習慣病で罹患するのはII型です。
糖尿病の最大の問題点は、動脈硬化性疾患(虚血性心疾患、脳血管疾患など)、失明(糖尿病性網膜症)、透析(糖尿病性腎症)、神経障害の原因となることです。食餌療法や運動療法をおこない、カロリー摂取と消費のバランスを整え適正な体重へ戻す努力をすることはもちろんですが、それでも血糖値かコントロールできない場合には薬物療法(経口糖尿病薬、インスリン注射)などが必要になってきます。
高血圧症
高血圧症は症状があることはまれで、健康診断や日々の血圧測定などで発見されることがほとんどの疾患です。前述のように高血圧症の治療の最終目標は動脈硬化の予防であり、気の長い病気との付き合いが重要です。
高血圧症と診断された場合には、1日の塩分摂取量を6g程度に抑える(日本人の1日塩分摂取量は11~12g、生命維持に必要な塩分摂取量は3gです)、適正な体重を維持する、適度な運動を行うなどの生活習慣の改善が必要です。
生活習慣の改善でも血圧が高い場合に内服薬による血圧管理が必要となってきます。診察室や健康診断時だけに血圧が高い白衣高血圧という場合もありますので、高血圧が疑われた場合には自宅での日々の血圧測定も重要です。高血圧症の治療経験も豊富な当診療所所長にお気軽にご相談ください。
脂質異常症
脂質異常症とは以前は高脂血症といわれていましたが、血液中のコレステロールや中性脂肪などの脂質が高値を示す場合をいいます。脂質異常症そのものは症状は特にありませんが、長期間放置しておくと、虚血性心疾患や閉塞性動脈硬化症、脳血管疾患などの動脈硬化性疾患の原因となります。
逆流性食道炎
逆流性食道炎とは、食道裂孔ヘルニア(食道が横隔膜の上に飛び出してしまう)などにより胃酸が食道に逆流してしまうため、食道の粘膜に炎症を生じさせる疾患です。胸焼けや胸痛の原因となりうることがあり、循環器内科を受診するかたもいらっしゃいます。胃酸の分泌を抑える薬などで治療をします。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
喫煙など有害物質を長期に吸入することにより肺に炎症を生じ、正常な肺構造が障害を受ける疾患です。喫煙をしている方に多く、喫煙者の30%が発症するとの報告もあります。もちろん喫煙をしていてもCOPDにならない方もいらっしゃいますが、喫煙そのものは動脈硬化性疾患(虚血性心疾患、慢性閉塞性動脈硬化症、脳血管疾患など)のリスク因子でもあります。
慢性閉塞性肺疾患は不可逆性であり、最終的には肺から酸素を十分に摂取できなくなるため、高濃度酸素の持続的吸入(在宅酸素療法)が必要となります。予防が大切ですので、現在喫煙されている方は本文章を読んだその時からの禁煙をお勧めします。
感冒など
いわゆる“風邪”ですが、鼻から咽頭までの上気道を中心としたウイルスや細菌の感染を原因とした感染性疾患です。原因となる病原体は多種多様(ウイルスでは200種類以上でその他細菌も多数)であるため、通常は原因を調べることは困難です。
感冒症状の約80-90%はウイルスによるものと考えられていますが、ウイルスに対する原因治療はインフルエンザなど一部、有効な治療薬が開発されているものもありますが、おおくの場合は対症療法となります。また、いわゆる抗生物質(抗菌薬)は細菌感染に対しては有効ですが、原因がウイルスによる場合原因に対する治療ではなく、2次感染治療(ウイルス感染で弱っているところに細菌感染が生じる)が内服の目的となります。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に上気道(のどのあたり)閉塞し、いびきに引き続き呼吸がとまり(胸やお腹は呼吸の努力をしているが)、そのうちいびきと共に呼吸が再開する閉塞性睡眠時無呼吸と、いびきをかかずソーッと呼吸が止まり、再びソーッと呼吸が再開し大きな呼吸になる中枢性睡眠時無呼吸があります。
通常、ベッドパートナーがいびきと無呼吸に気づき受診するタイプは閉塞性睡眠時無呼吸症候群であり、高血圧、不整脈、多血症、糖尿病や突然死の原因になるほか、日中の眠気によりさまざまな障害(交通事故、作業ミスなど)の原因となります。
一方、中枢性睡眠時無呼吸症候群は心不全の約40-50%に伴い、心不全に合併することによりさらに生命予後が不良になることが言われています。
通常1時間当たりの無呼吸発作の回数で重症度が判定され、無呼吸低呼吸指数(AHI)が30以上だと重症と考えられ治療の適応になります。